工場勤務におけるヒヤリ・ハット活動の重要性
みなさんは、『ヒヤリ・ハット』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ヒヤリ・ハットとは、結果として災害や事故には至らなかったものの、それに直結してしまう恐れのある体験のことをいいます。
作業中にミスや危険を感じてヒヤリとしたり、ハッとするようなことが起きることから
『ヒヤリ・ハット』と呼ばれるようになりました。
製造現場では、従業員に月に1件以上のヒヤリ・ハット報告書の提出を義務付けしているところもおおく、改善提案とあわせて現場をよくしていくための重要な活動と位置付けられています。
ヒヤリ・ハット活動の目的は?
情報の収集・分析
ヒヤリ・ハット活動を行う目的の一つは、現場に潜む危険作業・危険個所の情報収集です。
作業者が実際に体験した情報を分析することで、特定の作業に起きるであろう危険の傾向を知ることができ、災害の未然防止や再発防止につなげることができます。
ヒヤリ・ハット活動で報告する内容は、あくまで【危険】であり実際に災害や事故が発生してしまった場合はヒヤリ・ハット活動の対象にはなりません。
災害や怪我の未然防止
ヒヤリ・ハット活動の重要性は、“災害防止の父”と呼ばれたアメリカのハーバート・ウィリアム・ハインリッヒの調査によって指摘されました。
彼は膨大な数の労働災害を統計学的に調べ、1件の重大な労働災害の背景には、29件の軽微な災害があり、その下にはさらに300件のヒヤリ・ハッとする体験があることを突き止めました。
これをハインリッヒの法則といい、ヒヤリ・ハット報告書で職場に潜む危険の情報を収集・分析・対策することで、不安全行動・不安全状態をなくし災害や事故を未然に防止できるようになります。
ヒヤリ・ハット活動と危険予知トレーニングとの違いは?
ほとんどの製造現場では、ヒヤリ・ハット活動とあわせて危険予知トレーニングも実施しています。
では、ヒヤリ・ハット活動と危険予知トレーニングの違いは一体何なのでしょうか?
危険予知トレーニング
危険予知トレーニングは、災害の未然防止を目的とし作業者同士が職場に潜む危険について話し合い、対策を考えていく活動になります。
実際に体験したことを報告するヒヤリ・ハット活動に対して、危険予知トレーニングは事前に考えうる危険個所に対しての対策がメインになります。
最大の目的は、作業者自らが危険を危険と認識することにより不安全行動をなくすことであり、作業者同士が情報を共有することにより、職場全体の安全に対する意識を高め
各自の安全行動を促すことにあります。
ヒヤリ・ハット活動
ヒヤリハット活動は、作業者が実際に体験した危険を情報として蓄積することに最大のメリットがあるといえるでしょう。
作業を実際に行った上でしかわからない危険や、不具合を知ることができるため、大きな災害を未然に防ぐ効果は高いと言えます。
また、作業内容にそった無理のない、具体的な対策を立てやすいのもヒヤリハット活動の強みでしょう。
ヒヤリハット活動を行ううえで大事なこと
体験の報告は迅速かつ正確に
・何を行っているときに・何がどうなったか・どんな危険があったかをすぐに報告することは、ヒヤリハット活動を行ううえでとても重要です。
記憶は時間とともに薄れてしまうので、正確な情報を伝達するためには早期の報告が大事になります。【止める・呼ぶ・待つ】を確実に実施し、災害の防止・対策につなげましょう。
情報の展開を行う
工場での作業は、一つの工程・作業を複数名の作業者で行うことも珍しくありません、
ヒヤリ・ハットすることがあった場合は、他の作業者にも情報を展開することが重要になります。
反対直への伝達や、作業要領書の改定を行うなどして、これから入社してくる新人作業者にも確実に情報が伝わるようにしておきましょう。
報告者の保護と早期改善
報告を行った作業者に対して、責任を追及することはしてはいけません。
情報はヒヤリ・ハット活動のみに利用することが大事です。
そうしないと、報告することを躊躇するようになったり、危険個所を放置することに繋がってしまうでしょう。
また、危険個所に対してはできるだけはやく対策を行うことも大事です。
対策が遅れると作業者が危険に晒されるばかりか、報告しても改善されないことにより、作業者の報告に対する意欲も低下させてしまうことになるからです。
報告者の保護と早期改善で、危険個所を放置しない安全意識の高い職場をつくりましょう。
まとめ
今回は、ヒヤリ・ハット活動の重要性について記事にしてみました。
製造現場では、年々安全に対する意識や危険個所への対策に力を入れるようになってきました。
作業者のケガや災害による生産性の低下を防ぐためにも、これからさらに重要度の高い活動になることは間違いありません。
作業者一人ひとりが積極的に活動に関わり進めていくことで、安全な職場は実現することができます。
これまでただ何となくヒヤリ・ハット活動を行ってきた人も、すこし意識を変えて活動に取り組むのもいいかもしれません。